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伝染性紅斑(リンゴ病)

伝染性紅斑とは

伝染性紅斑は、両頬が赤くなる症状から、日本では「リンゴ病」とも呼ばれます。人にしかうつらない、ヒトパルボウイルスの感染によって起こります。

特に妊婦の感染では胎児の異常(胎児水腫)や流産を起こす場合もあるので注意が必要ですが、ワクチンもなく、潜伏期に感染するという、予防が難しい病気です。このため、学校内や圏内で患者が発生した場合には、掲示やお便りで知らせることが大切です。

伝染性紅斑の症状

感染後7~10日後に微熱やかぜ症状が2~3日出現しますが、これらの症状がまったくでない場合も多くあります。感染14~18日後に両頬に典型的な赤い発疹が出ます。その後、赤い発疹が腕や太ももを中心に広がり、次第に網目状、レース状になります。発疹には痛みを感じることもあります。

小児ではほとんどの場合が軽症で、1週間~10日ほどで発疹は消えていきます。成人では関節の腫れや痛みが出る場合もあります。

TOPIX「2割ほどが不顕性感染」

感染していても、頬の発疹やひじ、ひざの発疹などが見られない不顕性感染も2割程度あるとされます。かぜのような症状のみで、発疹などの症状を出さない人もいます。

感染に気をつけるべきケース

ほとんどの場合は大きな問題のない疾患ですが、妊娠中は注意が必要です。特に、妊娠前半期の妊婦が発症すると流産や胎児水腫を起こすことがあります。もし発症した場合は主治医に相談をして、胎児の状態を調べてもらいましょう。

また、球状赤血球症やこれに近いタイプの慢性溶血性貧血症の方は、急性の重い貧血を起こすこともあるため、早急に主治医の治療を受けましょう。

受診の目安

特別な治療法を要さず、ほとんどの場合は通常受診は不要です。

小児の場合は自然軽快することが多いのですが、紅斑のかゆみが重い場合や他の症状を伴う場合は小児科を、成人であれば、内科を受診します。ただ、関節痛などの症状が強い場合は、診断のために医師による受診が必要になります。

伝染性紅斑の感染経路

主な感染経路は「飛沫感染」です。原因ウイルスであるヒトパルボウイルスB19は、感染した人の発疹が出現する前の唾液や肌の粘液、血液に含まれています。

感染経路①飛沫感染

感染者のせきやくしゃみの細かい粒を吸い込むことで感染します。

感染経路②接触感染

感染者が触ったものや、直接手指を経由してウイルスが鼻や口に入ることで感染します。

ウイルスのついた手で口や鼻に触れたり、食器などを介して感染する場合もあります。家庭内では50%、学校で同じクラスであった場合は10~60%の子どもが感染者との接触や飛沫で感染します。

TOPIX「発疹が出ている患者は感染源にならない」

感染源となるのは発疹が出る前(潜伏期)の患者です。そのため、すでに両頬や体に赤い発疹が出ている子どもからは感染することがありません。

伝染性紅斑の流行時期と感染しやすい人

流行時期

主には春を中心に、1月~7月頃の間に患者が多く発生します。また、その年によっても異なりますが、約5年ごとの周期で流行する傾向があります。

感染しやすい人

感染の報告が多いのは4~9歳、次いで0歳~3歳の小児に好発します。成人の感染者は少ないですが、関節炎が続くことがあります。

伝染性紅斑の予防対策

感染源となるのは、発疹が出る前の潜伏期のため、すでに両頬や体に発疹が出ている子供からは感染することはありません。そのため予防するのが難しい疾患です。

患者が出た場合、すみやかに周知を行うこと、妊婦や血液疾患がある方は、伝染性紅斑が流行している間は子どもや人が多い施設の立ち入りを避けるなどの対策が重要になります。

登校・登園は?

子どもの体調がよければ可能です。